IT業界のはなし

IT業界に未経験・30代から転職する方法を現役エンジニアがガチで考えてみた。

昨今、AIやIoT、5Gといった最先端技術の盛り上がりもあり、世間的にIT業界への注目が高まってきています。

それに伴い、未経験だけどIT業界に転職したいという方も増えているようです。

本記事にたどり着いたアナタは、実務経験はないけどIT業界で職が得られるのか?、30代だけど年齢的に間に合うのか?といった不安を抱えていらっしゃるのではないでしょうか。

結論から言えば、実務未経験でもITエンジニアになることは可能です。

確かに30代からは未経験だとかなり厳しくなるかもしれませんが、実際に30代でIT転職に成功した人は知ってますので不可能ではないです。

日々、ITの現場で戦っている自分としては、意欲をもってIT業界に飛び込んでくる方は応援したい気持ちがあります。

もし、アナタがそうであれば本記事を役立てていただけると嬉しいです。

※なお、本記事では解説対象としてネットワークエンジニア、社内SE、ディレクターといった職種は一旦除外してます。
主にシステムエンジニア、プログラマーを想定しています。

軽く私の業務経歴を紹介。


私は、実務経験10年程度の現役ITエンジニアです。

正確には、システムエンジニア、Web系プログラマーの経験を持っています。

ネットワーク構築とかではないです。

サーバー側(バックエンド)、スマホ(Android,たまにiOS)が守備範囲です。

大学は文系の学部を卒業し、新卒でIT企業に就職して現在に至っています。

学生時代は趣味程度にWebサイトを作ったことはありましたが、その程度です。

実務は会社に入ってから学びました。

最初に入った会社(Sier)では、大手企業様向けの基幹システムの新規開発、運用保守の案件にいくつか関っています。

その後、2社目でWeb系の自社開発企業に転職し、スマホアプリ開発、AI事業での研究開発に関わり、現在はフリーランスとなっています。

参考までに、主な保有スキルは以下のとおりです。

言語:Java, JavaScript, Kotlin, Swift, C#, SQL(Oracle, PostgreSQL), PL/SQL, bash、Pythonなど
開発ツール:Eclipse, AndroidStudio, XCode, Unity, VSC, Jenkins, Git, SVN, VSSなど
サーバーOS:Solaris, WindowsServer

結論:未経験からITエンジニアになれる?

冒頭でも言いましたが、実務未経験でもITエンジニアになることは可能です。

実際、私の友人は30歳で営業から未経験の状態でITエンジニアとして転職しました。

また、私が所属していた会社には35歳で飲食関係から転職してきて、新卒に混ざって頑張っている方もいらっしゃいます。

他にも事例は知ってます。困難が伴うことを覚悟する必要はありますが、未経験でもITエンジニアとして転職することは可能です。

ただし、30歳を超えてくると未経験では段々厳しくなってくるので、採用されるための戦略が必要です。

まずは、自身の適性を測るためにまずは勉強してみる、求人を探してみる、経験者の話を聞いてみるなどできることから始めることをオススメします。

(リスクを考えるなら、会社を辞めるのはその後。)

未経験でITに転職できる可能性について

まずは、IT業界で未経験者が転職できる可能性を探るために、マクロのデータを確認してみましょう。

エン・ジャパンがミドル層(35歳後半~)の転職支援を行うコンサルタントを対象にアンケート調査した結果では、「どのような業種への異業種転職が多いか」という質問に対して31%が「IT・インターネット」を挙げています。

少子高齢化で若手の絶対数が減っている一方で案件自体は増加しているため、年齢要件が緩くなってきていると現場感覚では感じています。

異業種転職の実態調査。68%の転職コンサルタントが「異業種転職をしたミドルがいる」と回答。 - エン・ジャパン
https://corp.en-japan.com/newsrelease/2018/13202.html

また、マイナビに掲載されているITエンジニアの求人のうち48.6%は職種未経験者歓迎となっています。

一応、未経験者を優遇しているランキングに入ってます。(16位なので高いほうではないですが)

ちなみに、業種を問わない全ての求人では78.4%が未経験者歓迎となっています。

意外と未経験だからと言って門前払いにしている求人だけではないのです。

未経験から転職しやすい職種・業種は? 企業は未経験者に何を期待してるん? - マイナビ
https://tenshoku.mynavi.jp/knowhow/donai/03

さらに、昨今のコロナ禍の情勢においてもIT技術者の求人倍率は8倍近くになっており、求職者には追い風が吹いています。(doda 転職求人倍率レポート)

全業種でみると有効求人倍率は2倍程度なので、IT業界が他業種に比べるといかに人手不足かわかります。

IT市場の拡大スピードが速すぎて、人の供給が追い付いていません。

総じて、データからは次のことが言えるかと思います。

  • 未経験でIT業界に転職すること自体は現実的に可能。
  • IT技術者の求人倍率は8倍近く。圧倒的に人が足りない。

ITエンジニアは専門職としての側面があり、どうしてもスキルの習得には時間が掛かってしまうので未経験者に対するハードルがあるのは事実です。

しかし、実際に未経験から転職している方は確実に存在しますので、諦める必要はありません。

ただし、困難が伴うのは覚悟してください。

昨今はコロナの影響でリモートワークにより社内教育が難しく、未経験者には厳しくなっていると思われます。

人を派遣するだけの企業に使い捨てられないように、市場価値を意識しながら戦略的に経験を積んでいくことが非常に重要です。

実力があれば学歴や保有資格の有無は大して関係ありません。

良くも悪くもドライで徹底的に実力本位なのがIT業界です。

未経験からIT企業に転職するための戦略

続いて、本題の未経験からIT企業に就職する方法を解説します。

概要を端的に言うと、入りたい企業群を想定した後に手を動かしてプログラムを作り、企業に応募するという感じです。

それでIT転職のスタート地点にとりあえず立てるかな、と思います。

面接官が未経験者に対して期待するのは、やる気があって自分で努力して成長できること、だからです。

つまり、まずは自分で手を動かしてプログラムを書くことで、それを証明する必要があります。

あとは、人柄(特に素直さ)、入社意思も重要です。

なお、万年人手不足のブラック企業ならポートフォリオなしでも通過できる可能性はあります。

しかし、自分の向き不向きを確認するためにもポートフォリオ作りはオススメします。

やりたい仕事の内容、志望企業を考える

IT企業での仕事内容としては、例えば以下の通りです。

  • 企業内部で使用される業務システムの開発(Sier企業)
  • 自社でサービス開発・運用(クックパッドとか)
  • ゲーム開発(ソシャゲ、家庭用ゲーム機)
  • 家電、車のエンジン制御などの組込み開発

IT技術はあらゆるところで使われているため、さまざまな業務が存在します。

志望動機や方向性を考える材料になるので、徹底的にリサーチしましょう。

取っ掛かりの判断の軸としては、例えば以下のようなものがいいかもしれません。

  • 仕事の内容を見て何となくワクワクする
  • 企業向けの大きなプロジェクトに関わりたい
  • スマホアプリ開発がしたい、業務システムに関わりたい
  • 現在の仕事に関連するシステム開発をしている

なお、仕事の内容により各企業で得意不得意があります。

やりたい仕事を考えつつ、実現可能な企業を絞り込んでいきます。

一生懸命、調べたり考えてみたけど思いつかない場合は、一旦次の作品作りに着手してください。

以下の記事では、私の企業内での実体験を紹介してます。企業選びの参考にしていただければと思います。

【実体験】Sierとは?働き方、オススメ企業を解説します。

自分の作品(ポートフォリオ)を作る

面接の際に企業側に提示することを意識してプログラム作品(ポートフォリオ)を作ります。

ポートフォリオを作った方がいい理由としては、採用担当者に対して自走して努力できることを証明できるということが大きな理由です。

あとは、実務に入るにあたっての予習にもなりますし、プログラミングに対して自分がどのくらい向いているのか試す意味でもよいかと思います。

ただ、技術の習得には大量の時間を投下する必要がありますので、最初のうちはできなくても当然です。

プログラミングが生理的に嫌い!とか無理!とかでなければ、向き不向きに関して悲観する必要はないです。

実際にプログラムを動かしたり、仕組みを理解することに対して面白いと思えるかどうかが大事だと思います。

さて、話を戻しまして、ポートフォリオを作るにあたっての技術選定ですが、できれば志望する企業で使われているものを使うのが理想です。

例えば、業務系のシステム開発している企業(Sier)であれば、言語はJavaでデータベースはOracle、PostgreSQLあたりが無難でしょう。

自社開発系企業やWeb系企業であれば、Ruby、PHP。データベースはMySQLあたりですね。

最近のモダンな開発企業さんならサーバー側はAWSを使用されることが多いので、組み込んでみるのも良いかと思います。

Android開発ならKotlin、iOS開発ならSwiftです。

また、実務でチーム開発するにあたってソースコードを管理するツールを使用します。

作ったプログラムはソース管理プラットフォームのGithubあたりに上げておくと良いでしょう。

志望企業が絞り込めていないのであれば、求人数が多い言語を選びましょう。

言語の学習方法に関しては、例えば以下の記事で説明していますので参考になるかと思います。

Javaの習得時間と効率的な勉強方法は?現役プログラマーが回答!

企業に応募する

ポートフォリオ作りが完了したら、企業に応募しましょう。

ただし、注意点があります。

未経験者を歓迎する企業というのは、ブラック企業が多いです。

内情としては、高スキルのエンジニアが採用したいけど誰も来ないので、やむを得ず未経験者を募集するという感じです。

もちろん、中には未経験者歓迎で良い会社もありますが、基本的に未経験者は職歴がないので評価は低くなります。

待遇が悪化することは覚悟しておいた方がいいと思います。

できるだけ早く実務経験を身に着けて、その経歴を使って次の良い会社に脱出するという方針がオススメです。

(もちろん、幸運に恵まれて会社を気に入ったならこの限りではない。)

ただし、これには例外があると思っています。

例えば、今まで医療系の仕事をしていて医療系のシステム開発を行う会社に転職する場合は、前職での経験を評価される可能性があります。

ジョブチェンジをするにあたって、経験のある業務から軸足を片足づつ移していくというのは戦略的にはアリだと思います。

現在の経歴をうまく活用しながら求人を探すには、プロのキャリアアドバイザーに相談して棚卸をしてもらうのが良いと思います。

彼らは採用担当と直接コネクションを持ちながら、多くの求職者のキャリアを見ています。

なので、こちらの思わぬ視点から有用なアドバイスをしてくれるケースが多いです。

私自身、転職の際には面接対策や求人紹介でかなりお世話になりました。

サービス自体は全て無料ですし、経験上転職を強要されたことは一度もないので気軽に利用できると思います。(私自身、転職せずに相談のみで終わったこともある)

また、Web系のスタートアップ企業を目指すのであれば未経験者募集でなくても、採用してもらえる場合があります。

ただし、質の高いポートフォリオは必須です。Wantedlyなどのサービスを上手に利用してアプローチして見ましょう。

プログラミングスクールを活用する


独学で転職成功まで学習モチベーションを保てる場合は、そのまま突き進んでもOKだと思います。

一方で、時間や労力の面で効率的に学習したい場合はプログラミングスクールを検討してみるのもよいでしょう。

初学者の場合はネットで調べようにも基礎知識がないので、答えを見つけているのに気が付かずに素通りしてしまって時間を浪費したりというのはありがちです。

そのまま目の前にある問題を中々解決できず、やっぱり自分には難しすぎたと感じてそのまま挫折するパターンにハマることも。

身近にすぐ質問できる人や教えてくれる人がいると、そういった事態は防げますし時間的にも労力的にも大幅なショートカットができます。

自分も新人時代は会社の先輩エンジニアにボロカスに言われながら学んでいたものですが、教科書で自習していた時よりも明らかに吸収スピードは速かったです。

もちろん、質問をしたらすぐ答えが返ってくるような人脈があったり自学でやっていける自信のある方はスクールに頼らなくてもいいと思います。

ただ、そうでない方は挫折を防ぐという意味でスクールを検討してみるのもいいと思います。

仮にスクールを選ぶとすると、学習効率や正確性の観点から現役のエンジニアが個別指導してくれるところがオススメです。

例えば、私もいろいろ調べてみたのですが、TechAcademy [テックアカデミー]なんかはいいと思います。

オンラインのプログラミングスクールでは、TechAcademyがシェアNo1です。(調査:マクロミル。2020年のインターネット調査。回答者数:1,004名)

TechAcademy [テックアカデミー]

お金はかかってしまいますが、手厚いサポートが欲しい場合は検討されるのも良いかと思います。

また、少し珍しいタイプのスクールで【ネットビジョンアカデミー】というところもあります。

多くのスクールはプログラミングに特化していますが、ネットビジョンアカデミーはインフラ系に特化したスクールです。

インフラ系に特化したスクールはかなり少ないので、 ネットワークエンジニアに興味がある方には選択肢に入ってくるかなと思います。

インフラ系は需要が確実にあるにもかかわらず、現場感で言うと志望する人がプログラマーよりも少ないため、倍率の面では有利かも。

番外編:人脈を作る

エンジニアの知り合いをたくさん作って、企業に直接紹介してもらいます。

昨今はリファラル採用という制度を設けている企業が増えています。

制度としては、既に所属している社員に知り合いを紹介もらって面接に来てもらうというものです。

で、紹介してもらえるような人脈をどうやって作るかですが。

例えば、定期的に有志のエンジニアが集まって勉強会が開催されることがあるので参加してみましょう。

以下のサービスで検索してみてください。

エンジニアをつなぐ IT勉強会支援プラットフォーム
https://connpass.com/

勉強会の後に懇親会とかあったりするので、そういう場でコミュニケーションを取っていきましょう。

運が良ければ、知り合いになったエンジニアから紹介してもらえる可能性があります。

社内的には「あの人の紹介なら大丈夫じゃない?」みたいなかんじで書類選考スキップできることも。

仮に直接採用につながらなかったとしても、業界の話を聞いたりして勉強になることも多いと思います。

将来的な独立・フリーランス化について


正社員として最低1年の実務を経験できれば、案件はある程度獲得できるかと思います。

ただし、需要の低い技術しか習得できていないなど、市場価値の低い経験しかないと案件は取れないかもしれません。

(個人的には未経験から直接フリーランス化するのはオススメしません。スキル的に厳しすぎるので、正社員を経由するのが現実的だと思います。)

労働市場の状況については、常にアンテナを張ってリサーチし続けることをオススメします。

フリーランスは、どのようにしたら生き残れるかの戦略を考え続ける必要があります。これが出来ないと長期的には詰みます。

私の場合、日頃から採用担当者のインタビュー記事やブログ記事は参考にしています。例えば以下のような記事。

採用強者3社も獲得に苦戦!?人事が明かす「今すぐ欲しい」エンジニアの実態【メルカリ×DeNA×サイバーエージェント座談会】
https://type.jp/et/feature/10176/

あとは、エージェントの案件サイトで検索したり、営業担当に問い合わせたり、といった感じで常に状況を確認しています。

フリーランス案件にも様々なものがあり、比較的経験が浅くてもできる仕事は出回っていますが、そういった案件は不況時に減ります。

長期的には市場価値が高い人材になっていなければ、フリーランスとして生き残ることが難しくなっていきます。

そして、市場価値が高い人材=需要はあるのに供給が少ない人材、と私は考えています。

なので、自分のやりたい仕事と需給バランスを秤天秤にかけつつ戦略的に請ける仕事を選択して、経験を積んでいくことが重要です。

フリーランスの実情については私の体験談として以下の記事にまとめていますので、参考にしていただければと思います。

【実体験】フリーランスエンジニアの現実と不安について

まとめ

以上、未経験からIT転職を実現する方法について考えてみましたが、いかがだったでしょうか。

未経験の場合、特に入社して最初の一年はプライベートの時間を犠牲にしても勉強して、食らいつく必要はあるかと思います。

しかし、無理だと思ったら心や体を壊す前に撤退してください。

命より大事な仕事はありませんし、メンタルの回復は容易ではありません。

とはいえ、IT業界で手を動かすスキルは一生の財産になります。

IT技術を必要としない企業はほとんど存在しないと言っても過言ではありません。

ゆくゆくマネジメント職種に進むとしても、技術を知っているというのは非常に有用なキャリアとなります。

また、ある程度実務経験を積めば会社から独立してフリーランスエンジニアとして活動する道もあります。

本記事が悩んでいるあなたのお役に立てれば嬉しく思います。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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